月間ゴルフレビュー コース探訪 に掲載されました


月間ゴルフレビュー【7月号】にカレドニアン・ゴルフクラブの
記事が掲載されました。

特集 名コースは会員や従業員にも誇りを持たせるカレドニアンGCの矜持
ゴルフコースのグリーンは肖像画における“顔”の言葉を残したチャールズ・マクドナルド。もうひとつ付け加えるなら従業員の対応もコースの評価を決める重要な顔の一つ
日本では珍しいほどの強いアンジュレーションが、人間の五感をフルに稼働させると、
故中部銀次郎氏が絶賛したカレドニアンの14番グリーン(パー4)
日本にはない起伏に富んで変化の多いカレドニアンGCのグレードの高いグリーンは今では全国のゴルフ関係者に知れわたっている。ことにこの近年でマスターズ並みの「14フィート」の超高速グリーンに挑戦し、日本のゴルフのレベルアップに貢献していることは名声に更に拍車をかけている
晩年の中部銀次郎氏はモダンクラシックに心を奪われた
この近代的なモダンクラシックコースの素晴らしさを証明した人物に、日本アマ6回の最多優勝を誇り、不世出の天才ゴルファーと言われた中部銀次郎氏 (故人)がいる。晩年競技ゴルフを引退した中部氏はこのカレドニアンと富里両コースをこよなく愛した。
廣野CC、東京GC、下関GCの日本の名門クラブをホームコースとした中部氏は、初めてカレドニアン、富里両コースを訪れたとき、日本の古いコースにないスコツトランド指向の両コースに触れ、驚嘆と同時に、そのストラテージ(戦略性)を堪能した。以下は中部氏が残した言葉である。
「ゴルフは感覚と脳と心でプレーするもの。別な言い方をすれば、視覚と思考力と精神力です。この3つが同時にうまく作用するといいプレーが出来る」これまでは生まれ育った日本のコースで順調に行っていたために、数々の偉業を達成してきた。ところがカレドニアンをプレーしたとき、すぐにオーガス夕を連想したという。
「日本では経験したこともない強いアンジュレーションのグリーン、ドラマチックな池とバンカー、波頭が打ち寄せるフェアウェーなどを見ると3つのバランスが崩れる。日本で は3つのバランスを調和させれば大きな大会で勝てた。だが国際レベルのカレドニアンでは五感をフルに稼働させ、どれかが欠ければ思うようなプレーは出来ない。ベストルートを模索し、旗の位置次第で攻め方、打ち方を変える…。日本的庭園コースならそれほど緻密に考えなくても通用した。だがどのホールも戦略性が高いカレドニアンではグリーンから逆算してプレーする難しさ、面白さがある」以来中部氏は「どちらがホームコースか分からない」と言われるほど力レドニアンに傾注した。
コースは人を育てるというが、功成り名遂げた中部氏も、カレドニアンGCとの出会いで、晩年になって新たな自分を発見し新鮮な思いに浸ったことだろう。 しかし「コースは人を育てる」はプレーヤーだけとは、限らない。実は従業員にも当てはまることがカレドニアンGCにも見て取れる。
名コースの評判は働くスタッフにも矜持を与えるもの
同コース、渋谷康治総支配人が語る。「カレドニアンはコースで持っていることは重々承知しています。でもそれに甘えていてはいけないと思っています。 『あそこはコースは素晴らしいが従業員の質や運営がもう一つ』などと思わせたらいけない。いや『さすがにコースの質がいいと、従業員の質もいい』と言っていただかなければいけないと気を引き締めています。そのためにも様々な課題を設け、その実践を心掛けています」 早川会長が提案する「人づくり革命」の一環がハウススタッフやキャディの教育でも行われている。ハウススタッフとキャディを2つに分けて月2回のミーティングを欠かさず続けている。
以前はペーパーによる伝達だったが、幹部と従業員が直接意見を言い合うことで意思の疎通を図る。不満や、要望を受け入れ、改善する。5年前からはLINEによる意見の交換も始めた。
大切なのは「いかにして自立心を育むか」、従業員一人ひとりが個性を伸ばし、その道の「プロフェツショナル」を目指させるか。具体的には、キャディには石井グリーンキーパーのレポートを見せて、メンテナンスのやり方、必要性を説明するカレドニアンの名前の意味(スコツトランドを指す古語)やゴルフ場の標語である“タム・アルテ・クァム・マルテ”(ラテン語で力と同様に技も)の意味を教える。すべてはプレーヤーに聞かれたときのための知識と理解のためである。もちろんマスターズ並みの14フィートの意義と目的も分かりやすく説明する。 「知識は人生を豊かにする」という早川会長の理念の共有を忍耐強く説得する。従業員のモチベーションが上がれば、それは自分自身に跳ね返ってくる。
「神は細部に宿る」気付きも生まれる。そして従業員の仕事に「愛情・工夫・真心」が生まれる。 その上「報連相」(報告・連絡・相談)の徹底を図る。「会員サービスの徹底化を目標にしているので、メンバーの言う事は他のメンーの迷惑にならない限り出来るだけ聞く方針です。コースにいる間は快適に過ごしていただく。それがメンバーの満足度につながり、コースを誇りにすることにつながります。その雰囲気がキャディや従業員に伝わり、楽しく仕事に従事する原動力にもなります。CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)の両輪がないと本当の運営とは言えなぃと思います。それを徹底させるのが私の役目と考えていますから」(渋谷総支配人)
従業員もコース管理も評判の名に恥じないよう徹底教育をと語る渋谷総支配人(右)と石井キーパー(左)
コースの質と共に、明るく開放的で品格がある名コースの条件
名コースと名門コースはニュアンスは近くても似て非なるところがある。名門は歴史はあっても決して名コースとは限らない。
その点カレドニアンはコースの質が高く、運営も開放的だ。 古いしきたりには囚われない。 夏は短パンに、ショートソックスもOK。会員もゲストもお酒落を心から楽しんでいる。アスリート志向の若いゴルファー(男女)が多く、ひたむきに難コースに挑戦しているのも清々しい。ただし基本的なマナーはプレーヤーに要求する。メンバーはゴルフ場の丹精込めたメンテナンスを知っているから、グリーンのピッチマークは丁寧に修復し、バンカーの足跡はきちんと均す。その姿はゲストにも伝播する。みんながコースを誇りにし、大切にする。それこそが名コースの名コースたる所以だ。
カレドニアンGCはJ・M・ポーレットが精魂込めて設計した戦略性豊かなコース。フェアウェーのうねり、深いバンカー、プレッシャーを与える池など挑戦意欲をかき立てる。とりわけ蓮の葉を何枚も重ねたような変化に富んだ、国際基準の高速グリーンはプレーをスリルとエキサイティングなものにする。箱庭的な日本のコースと違い、旗の位置によってグリーンから逆算するプレーが要求される。ショットに思案し、アプローチやパットに技術と神経を使う。ゴルフの幅が限りなく広がる楽しさがある。
標語にあるように力だけでなく、知略も、ゴルフを愛する精神も必要とするコース、プレーの面白さ、従業員のホスピ夕リティ。それが一体となってゴルファーを魅了する。「コースは人を育てる」という深い意味を味わせてくれる。それこそがカレドニアンGCが名コースたる所以なのである。

(文 宮崎紘一)

月刊ゴルフレビュー 【7月号】(2018年6月20日発行)より抜粋