月間ゴルフレビュー コース探訪 に掲載されました


月間ゴルフレビュー【2月号】にカレドニアン・ゴルフクラブの
記事が掲載されました。

ゴルフレビューコース探訪 273
カレドニアン・ゴルフクラブ
(千葉県山武郡)

100人のゴルフ関係者の投票で、日本のゴルフコースランキング1位に選出された
リンクスのようにマウンドが連なり、グリーンの位置は角度があり小さく、手前の窪地やバンカーに囲まれた短くも難易度の高い16番ホール(パー4)

   某ゴルフ週刊誌年末特大号による2017ベストコースランキング特集(100人のゴルフ関係者などによるポイント総合)の総合ランキングで、千葉県のカレドニアン・ゴルフクラブが遂に1位に選出された。
 ちなみに2位は太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)で、3位は大洗ゴルフ倶楽部(茨城県)である。まずは順当な順位ともいえる。
 カレドニアンGCが遂にと言ったのは、ようやくコースとしての基準が客観視されたという思いがあるからだ。
 正直これまでの日本のゴルフコースランキングは廣野GCを筆頭に、東京GC、霞ヶ関CCなど名門といわれる古いコースで上位が占められていた。確かにこれらのコースはレベル的には高いのだが、中身より名前が先行しているのは否めなかった。また常に1位の座を独占していた廣野GC などは、超閉鎖的なコースで、評価するパネラーの一体何人が実際にコースをラウンドしたのかという疑問が付きまとっていた。
 その廣野は今回24位という順位であり、束京G C、霞ヶ関CCなどの名前は選出されていない。 ただし4位には小樽CC新コース、9位に川奈ホテルGC富士Cという歴史もあるが、常に高い評価を受けるコースもあり、また6位には北海道クラシックなど外国人設計家による新しい流れのコースなど、新旧のコースが入り混じっているのが大きな特徴。もう名前だけに囚われる時代ではないという事が、このランキングで証明されている。
 そんな中でカレドニアンGCの1位は日本のゴルフコースに対する評価もようやく正当になってきたという象徴的な意味合いがある。
 同コースは本紙でも何度も取り上げてきたが、ゴルフ発祥の地、スコツトランドのリンクスを基本理念に、これに現代のゴルフ事情をミックスさせたいわばモダンクラシックが大きな特徴。世界的に知られるJ・M・ポーレット(米国)が、渾身を傾けた力作として知られている。
 世界レベルのコース設計の原点である“レダン”(グリーンをティ、フェアウェイから見て45度の角度に配置し、ピンの位置でクラブ選択やショットに選択肢をもたせる) “ グランドレべルグリーン”(自然のマウンドの上にグリーンを置き、微妙な傾斜のためショット次第でバンカーやラフに流れ込む) “アルプス”(人口マウンドでグリーンがセミブラインドになる山越え)“フォールアウェイグリーン”(後方部が下がったグリーン)など世界の名コースに見られる設計手法が随所にちりばめられている。 まさに日本では希少価値の世界レベルコースである。
 

ショットヴァリュー、デザインバランス、メモラビティ、エスティティックス、コンディショニングなど世界の一流コースの要件を備え、遂に日本のゴルフコースランキング1位に選出されたカレドニアンGCの魅力
世界の名ホールに見られるレダン設計の17番(パー3)2段グリーンで、ピンの位置で難易度が大幅に変わる

 例えば2番(パー5)は縦長の大きなグリーンで、手前から奥にかけて3段グリーンになっている。ピンが手前に切ってあれば、上に乗せればスキー場のスロープのような急激な下りのパット。上に切ってあれば今度は急激な登りこう配で2パットに収めるには絶妙なタッチや距離感が要求される。
 また14番(パー4)は第2打地点から軽い打ち下ろしで、グリーン手前右半分が小高い山のセミブラインドホール。右にピンが切ってある場合は、ピンが見えず、直線的に狙うには正確な距離感と、高くて止まる球が要求される。では左サイドに見えるグリーンの面を狙えば、乗ったとしても距離があり、複雑なうねりがあるために2パットは至難の業になる。ここはまさにアルプス越えの厄介なホールだが、攻略したときの快感は何物にも代えがたい醍醐味がある。
 最短で確立の高い攻略ルートにはバンカーやハザードが待ち構える。そのトラップをギリギリに避けたポイントに落とせば視界は開け、大きなチャンスが巡ってくる。まさにリスク&リウォードの妙味がこのコースの最大の魅力であることが実感として迫ってくる。そうこのコースは欧米のコース設計の思想「グリーンから逆算してホールを攻める」本格的なゴルフコースなのである
オーガスタの13番をイメージした名物15番ホール(パー5)ホールに流れるクリークが厄介

そして麻薬のように取りつかれるのがグリーンのスピード。数年前に「日本のゴルフを世界レベルに引き上げるためにも、オーガスタ並みの超高速グリーンが必要」と14フィートというマスターズ並のスピードを目指した。それでなくてもうねりや傾斜でゴルファーを翻弄するのに、更にこのスピード。これがゴルフを限りなくエキサイティングで、チャレンジングなものにしている。
徹底した芝の管理が、最高のコンディションを維持

 カレドニアンGCの建設に当たってはゴルフ評論家やTV解説、ゴルフコース設計家などを含め世界のゴルフ界と交流のあった金田武明氏(故人)が大きく関わっている。
 その金田氏はまた米国のゴルフ雑誌「ゴルフダイジェスト」や「ゴルフマガジン」が実施している「世界名コース100選」にも関わっていたが、氏の解説する選考基準は以下の通り。
1.ショット・ヴァリュー
 クラブごとの飛距離、正確性、次のショットへの関連性などの高度な条件
2.スコアへの抵抗度
 チャンピオンシップティからスクラッチプレーヤーがプレーし、フェアーでありながらどれほど難しいか
3.デザインバランス
 距離、地形、アンジュレーションなど変化豊かにコースを造り上げているか
4.メモラビリティ
 各ホールに個性があり、しかも1番から18番まで一貫した流れがあること。プレー後明確に各ホールが印象的であること、単調さを極力避けること
5.エステティックス
 景観の美しさがゴルフをより楽しいものとする。オーガスタ・ナショナルに代表されるコースの美しさである
6.コースコンディショニング
 ティ、フェアウェイの整備、グリーンのスピード、バンカーの砂の質や状態などの整備の行き届き
7.伝統
 どのような歴史が創られてきたか。公式競技を開催してきたか。コース設計はどのように寄与したかなど=カレドニアンGCはこれまで日本プロ選手権を始め、女子シニアツアーなど数多くのトーナメントを開催し、2017年には男子ツアーの三菱ダイヤモンドカップの舞台にもなった
8.歩けること
 米国ではコースを歩けることの重要性を大切にしている。ゴルフは歩くことで、その魅力が最大に発揮され、また設計の妙味や景観の素晴らしさが発見できる
真っ白なバンカーと芝の青さがエスティティックスを高める9番(パー4)
 これらの明確な基準を見ても、日本の曖昧な選考とは明らかに一線を画していることが見て取れる。
欧米には「ホリディコース」という言葉がある。傑出した要素が見当たらない凡庸なコースを指し、アドバンテージがなく乗せれば2パットの同じようなホールが続く安易で単調なコースを意味する。
接待を中心にした金儲け本位のゴルフ場が乱立した日本には耳の痛い言葉だが、まあ初心者やアベレージゴルファーにはそれもまた必要ともいえる。
そんな中でカレドニアンGCは終始一ゴルフの真髄を極め、アスリート志向のホンモノを追求してきた“覚悟”がその背景にある。それがようやく陽の目を見ることになった。
良いゴルフコースは単にスコアを作るだけでなく、オーバーに言えばその人の生き方まで試される表現の舞台。「たかがコース、されどコース」それがゴルフコース最大の魅力であり、カレドニアンGCはそれらを網羅した一級のコースである。

(文 宮崎紘一)

月刊ゴルフレビュー 【2月号】(2018年1月20日発行)より抜粋