月間ゴルフレビュー コース探訪 に掲載されました


月間ゴルフレビュー【11月号】にカレドニアン・ゴルフクラブの
記事が掲載されました。

ゴルフレビューコース探訪 270
カレドニアン・ゴルフクラブ
(千葉県山武郡)

アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ
「ダイヤモンドカップ2017」の開催で、トーナメントコースの
あるべき姿を日本中に知らしめた
優勝の片岡大育を始め、参加選手が最も難しいと口を揃えた15番(498ヤード、パー4、通常時はパー5)第2打がロングショットの上、 グリーンの右奥から流れるクリークは、フェアウェー左サイドに続き、狙いはグリーンのみという美しくも、最高難度のホールだ

 舞台となったのは、千葉県のカレドニアン・ゴルフクラブ。ここは従来のトーナメントコースとは一線を画するコースと知られ、開催が決定したときから、専門家筋の 間で大きな関心を集めていた。
 それは日本のあまたあるコースの中で、カレドニアンGCが異彩を放っていたからだ。
 バブル経済の流れに乗った1990年に開場。誰もがやさしく、そして接待というゴルフ本来の姿とはかけ離れた目的で安易なコースが乱立したとき、ここは「ゴルフの本質を守り抜き 世界水準のコースを造って、ゴルファーのレベル向上のお役に立ちたい」との志をもった、創設者の早川治良社長(現東京グリーンTC株式会社取締役会長)が、妥協を一切許さず、頑固なまでにホンモノに 拘り続けた作品だった。当時も今も「難易度が高すぎる」との評価がある中で、約30年の時を経て最高レベルのプロの競技で、その真価が改めて陽の目を浴びることになた。 ホンモノは時代を問わず普遍であることの証明である。
 設計は米国の高名なJ・M・ポーレット。ゴルフコースの原点であるスコットランドのリンクスを基調とし、これに、より戦略的な米国式設計を取り入れたいわばモダンクラシックな デザインが特徴である。
カレドニアンの大きなポイントはグリーンである。ホールの設計によって、様々な形状を見せるグリーンは、蓮の葉をつなげるなかで大小のうねりをもたせ、おまけに高速。 バンカーや池、クリーク、ラフ、マウンドは、そのグリーンに応じて配置されている。グリーンが主役で、ハザードはあくまでそのグリーンを引き立てる脇役。 マスターズで知られるあのオーガスタを思わせる造形である。
 

世界基準のコースでゴルフの本質を問いかけたカレドニアンGCでの
ダイヤモンドカップが日本のゴルフを変えるか!?
リンクスのようにマウンドが連なり、グリーンは横長の16番(343ヤード、パー4)

 コースは、人を浮き彫りにするというが、結果はまさしくその言葉を証明する形となった。
 優勝者は片岡大育(28)その勝利には合理的な理由があった。
 片岡は2007年のプロ転向以来海外志向が強く、それも一気に米ツアーというのではなく、アジアや欧州ツアーを視野に入れていた。積極的にアジアや欧州のツアーを転戦。 2011年にはアジアツアーのシード権を獲得している。日本人プロには珍しいグローバル感覚を身に付けている選手である。
 この片岡のコーチであり、マネージャーを兼ねているのが青山充氏(45歳)。彼は23歳で渡米し、本場アメリカではスイング理論を始め、様々な勉強をしている。そして片岡が 19歳の時にコーチとしてタッグを組んだ。
 ゴルフはグリーンから逆算のゲームでカレドニアンと
 一体になった片岡大育の知略に溢れた優勝
池とバンカー、うねるグリーンが、スリル満点の6番(560ヤード、パー5)

 そして片岡はこの青山コーチと共に、アメリカ・オーランドで修業を積んでいる。レベルの高い米国のコースでラウンドを重ねた結果、たどり着いた結論は「ゴルフはグリーンから逆算するゲーム」だった。
 帰国後日本でそれを実践するコースとして青山コーチが白羽の矢を立てたのがカレドニアンGCである。
 プロ入り以来毎年ここを合宿地に選んだ。「カレドニアンは欧州の一流コースと同じで、プレーに大切な様々なことを訴えかけてくる。それに必要な技術も引き出してくれる。 何よりグリーンから逆算するレイアウトだから、コースマネージメントを養うには最適。すべてのクラブを必要とし、ピンポジションで戦略が目まぐるしく変わる。片岡が賢い プレーヤーになったのは、ひとえにカレドニアンのお陰です」
 古代ローマ軍の格言通り、戦略と技術が要求されるカレドニアンGC
大会時は右の池をカットして1オン可能にした13番(407ヤード、パー4)

 カレドニアンGCには同コースを象徴する標語がある
 「TAM ARTE QUAM MARTE」がそれで、これは古代ローマ軍が掲げたラテン語の「力と同様に技も」の意味。
 創設者早川氏がコース建設の調査でスコットランドのロイヤル・トルーンGCを訪れ、そこに飾られていた標語を見て、「これこそ、これから造るコースにふさわしい言葉」 と天啓に打たれ、同コースのセクレタリーに頼んで、許可を得たといういきさつがある。
 この言葉には、「ゴルフは自然との闘い。攻略するには、力だけでなく、頭脳、知性、精神力など総合力を必要とする質の高いゲーム」という箴言だ。
片岡は4日間を通してこの言葉に忠実なゲーム展開を見せた。
 特に圧巻だったのは、首位の高山忠洋、サクサンシン(タイ)に1打差の3位でスタートした最終日。冷静沈着なプレーでじっと機を伺い、グリーン手前左半分を小高いマウンド群が覆うリンクス風の16番(343ヤード、パー4) でフェアウエーからの第2打を3メートルに付けてのバーディーに続く17番(195ヤード、パー3)では、最深部に立てられた最高難度のピン位置にもかかわらず、50センチにつけるスーパーショットの連続バーディで、高山、サクサンシンを一気に突き放した。
 この17番はいわゆるレダン設計(ティーグランドに対し、グリーンは右手前から奥にかけて、約5度に設置し、極端に幅が狭く、また急激な段差やうねりがある。グリーンに沿って手前にバンカーと谷、右はグラスバンカー)で、欧米の難易度の高いコースによく見られる設計だ。
ビーチバンカーが美しい13番(545ヤード、パー5)で選手のプレーを見守るギャラリー
 最難関の15番を徹底したマネジメントで攻略した片岡大育
 またこの連続バーディーの引き金となった15番《最上部写真》(498ヤード、パー4、通常はパー5として営業)はフェアウェー左サイドのほぼ半分からグリーン手前と右サイドにクリークが流れるオーガスタの名物13番をイメージした 美しくも、「ラフに入れたら万事休す。今回の一番難しいホール」(片岡)という厄介なホールである。
 片岡はここで連日ドライバーを使わず、確実にフェアウエーをキープ。最終日は、残り約240ヤードを5番ウッドで手前ギリギリ2オンに成功。なんとグリーンの上からウェジでアプローチし、パーで切り抜けている。まさに  「グリーンから逆算してのゲーム」に徹底した結果だった。
 片岡も試合後こう振り返る。「カレドニアンは欧米風の段差やうねりのあるグリーンをどう攻めるかがポイント。そのグリーンの形状を頭に入れ、外してはいけない場所も知っていたので、徹底的にマネジメントに徹しました。アメリカももちろん アジアやヨーロッパでもこういうレベルのコースでプレーした経験が生きたと思います」
 この結果に満足したのは優勝した片岡だけではない。同コースのメンバーも同様だった。

グリーンから逆算の賢いゲームで優勝した片岡大育と青山コーチ(写真円内)
(文 宮崎紘一)

月刊ゴルフレビュー 【11月号】(2017年10月20日発行)より抜粋