月間ゴルフレビュー コース探訪 に掲載されました


月間ゴルフレビュー【2月号】にカレドニアン・ゴルフクラブの
記事が掲載されました。

ゴルフレビューコース探訪 260
カレドニアン・ゴルフクラブ
(千葉県山武郡)

ゴルフ発祥の地スコットランドの「神が造りたもうた」
リンクスを原点として造られたコースで
2017年のダイヤモンドカップの舞台
大海原のようにうねるマウンドと、巧に配置されたバンカー群は
すべて蓮の葉を重ねたようなグリーンの小道具という難度の高い9番ホール(パー4)

 ダイヤモンドカップは、今年千葉県のカレドニアンGCで行われる。同コースで男子のレギュラーツアーが行われるのは2000年の日本プロゴルフ選手権以来17年ぶりとなる。ISPS・ハンダマッチプレー選手権は試合形式、ダイヤモンドカップは開催コースが特徴と一見つながりはないように見えるが実はこの2試合共通点がある。
 それは共に両試合とも、ゴルフの発祥であるスコットランドが関連しているからだ。
 スコットランドで生まれたゴルフゲームの原点はマッチプレー。もちろんその舞台は自然をそのまま生かし「神が造ったコース」と呼ばれるリンクスである。
 ダイヤモンドカップが行われるカレドニアンGCは、そのリンクスを原点として造られた日本では稀有なコースである。
 冒頭で述べたISPSハンダ・マッチプレー選手権と、ダイヤモンドカップに共通点があるといったのは、共にゴルフの原点であるスコットランドに由来するという意味だ。
 そういう点では、この2試合はゴルフの深奥を知る絶好のチャンス。まさに見逃せない重要な試合となる。

今年の男子ツアーのダイヤモンド・カップが開催されるカレドニアンGCは
世界の名コースに共通するリンクスを原点としたモダンクラシックコース。
真の勝者を選ぶにふさわしい名舞台・・・
美しビーチバンカーと、クラブハウスで額縁の絵のように美しいが
傾斜のある高速グリーンが曲者の13番(パー4)。後方は18番グリーン(パー5)

 カレドニアンGCが掲げる標語は「TAM ARTE QUAM MARTE(タム・アルテ・クォム・マルテ)」これはラテン語に源を発し、古代ローマ軍が戦闘に使用した言葉。その意味は「武力と共に計略も」というものだが、それをゴルフに当てはめ「力と同様に技(頭脳)も」訳したもの。字面からの印象以上に深遠な意味がある。
 まさにゴルフプレーを象徴する言葉で、全英オープンなどでおなじみのスコットランドのロイヤルトルーンGCが、クラブの象徴としてハウス内に掲げている。
 この言葉をカレドニアンが標語としたのは、かつて「世界レベルのコースを」の理念の基に同コースの建設に当たって、オーナーの早川治良氏(現取締役会長)が、スコットランドを中心に数々の名コースを視察。全英オープン開催などで知られるロイヤルトルーンを訪れた際、この標語を目にし、「この言葉こそ、これから造るコースの大きな指針になる」と感銘し、ロイヤルトルーンに頼み込んで、使用許可を得たといういきさつがある。
うねるフェアウェーに小さなグリーンを取り囲むバンカー群はまさしくリンクスそのものの16番(パー4)

 付け加えるならば、スコットランド視察の裏には、当時早川氏が親交のあった摂津茂和氏(ゴルフ史家、世界ゴルフ大観を始め多くの著書がある=故人)に「ゴルフコースの原点はスコットランドのリンクス。まずそれを自分の目で確かめなさい。」と諭されて渡英したいきさつがある。もう1人、早川氏に大きな影響を与えたのが、当時米国のスポーツ・イラストレイテッド誌アジア代表で、パーマーやニクラスなど世界的なプロゴルフ関係者と交流を深めていたゴルフ評論家の金田武明氏(故人)の存在もある。
 金田氏からは、「歴史に残る優れたコースにしたいなら、絶対にワングリーンでなければならない」とアドバイスを受けている。そしてこの言葉に従って金田氏が推奨する世界的なコース設計家のジョン・マイケル・ポーレット(米国)に設計を依頼。カレドニアンGCの誕生となった。
 ポーレットもまたリンクスコースを設計の原点とするコースデザイナーとして知られていた。
カレドニアンGCは、スコットランドのリンクスが原点(写真はセントアンドリュースの全英オープン)

 カレドニアンの特徴はリンクスと近代型戦略思想をミックスしたモダンクラシックスタイル。その大きなポイントとなるのがグリーンだ。早川氏に示唆を与えた摂津氏は「ゴルフコースの性格は一にパッティンググリーンの構造にかかっている。グリーン以外のティイングラウンド、ハザード、フェアウェー、ラフなどはみなアクセサリーにすぎない」と喝破している。また金田氏はあのオーガスタ・ナショナルGCを評して、「スコットランドを起点にした戦略型コースのグリーンの最大の特徴は、直径5〜8メートルの蓮の葉が4枚から6枚グリーンに浮いているところにある。各々の蓮の葉は高さ50センチから1.5メートルと高低がある。これらの蓮の葉をなだらかな傾斜面で結ぶと、変化の多いグリーンになる。目標は旗の立っている1枚の蓮の葉。これがゴルフを限りなく高度で質の高いものにしている最大の原因」
 これはまさにカレドニアンそのものだ。蓮の葉をつなげた変化に富んだグリーンを中心に、バンカーや、池、マウンドが巧みに配置されている。また造形の美しさは目を見張るものがある。早川氏は3年ほど前からオーガスタ並みの14フィートの高速グリーンに挑んできたが、ダイヤモンドカップ時はグリーンのスピードは13フィートを上回る準備が進められている。総距離約7200ヤード(パー71)と最近では短めだが、飛距離より当然パッティングの巧拙に比重がかかる。
 標語にあるように、ここでは力・技・頭脳・精神力そして、何より人間力が試される。おそらく通常のトーナメントでは見られないシビアで繊細な戦いになることは必至。ゴルフファンはここでの大会で、ゴルフの真の魅力を発見することになるだろう。

(文 宮崎紘一)

月刊ゴルフレビュー 【2月号】(2017年1月20日発行)より抜粋